健康経営優良法人の認定企業数の増加など、企業が健康経営を推進する動きが広がるにつれ、「健康経営」の必要性を伝え、必要な情報を提供する「健康経営アドバイザー」への関心が高まっています。

企業の経営環境がますます複雑化し、従業員の健康と幸福がビジネスの成否に直結することが認識され、健康経営アドバイザーの役割もますます重要視されています。

本記事では、今健康経営に求められる健康経営アドバイザーの役割の具体的内容や資格取得方法を詳しく解説します。健康経営アドバイザーの上位資格である健康経営エキスパートアドバイザーについても紹介します。

本記事から得られる情報は以下の通りです。

・「健康経営」に取り組む重要性・必要性
・「健康経営」に取り組む際の健康経営アドバイザーの有益性

健康経営アドバイザーの支援を受けることで、以下の様なメリットが得られます。

・会社業績をUPできる
・既存の従業員の離職・転職を予防できる
・優秀な人材を獲得できる

健康経営アドバイザーに支援を受けることは、単に従業員の健康増進をサポートするだけではない、企業経営に大きなメリットがあることを深く理解できるようになります。

■目次

1. 健康経営の資格

1-1. 健康経営の重要性

日本は65歳以上が人口の21%以上を占める「超」高齢社会に突入し、2060年には35%を超える「超超超」高齢社会になると推計されています。さらに、総人口は今後100年で100年前の水準に戻ると予測されています。

このことから従業員の健康への投資を促進し、就労世代の活力向上や健康寿命の延伸等を実現する「健康経営」が重要な経営課題となっています。

参考:経済産業省「健康経営の推進について

健康経営について詳細はこちらをご覧ください:
健康経営とは?意味や背景、コロナ後の状況を解説

1-2. 健康経営の資格ができた背景

経済産業省は2014年から企業の「健康経営」の取組に関する調査をしてきましたが、

・「健康経営」への企業の取組みが予想より進展していない
・「健康経営」実現に関するノウハウ不足

が明らかになったことから、その必要性を啓蒙し、ノウハウ不足を補う役割を果たすアドバイザーの必要性が浮かび上がりました。そこで、

・「健康経営」の必要性を啓蒙する役割=「健康経営アドバイザー」
・「健康経営」実現ノウハウの不足を補う役割=「健康経営エキスパートアドバイザー」

を、東京商工会議所が2016年経済産業省の委託を受けて資格化しています。

これまで、講習を受講した人は約4万人にものぼりました。

ここからは、今健康経営に求められる健康経営アドバイザーの役割の具体的内容や資格取得方法を詳しく解説していきます。

健康経営アドバイザーは、単に従業員の健康増進をサポートするだけではない、企業経営に大きなメリットがあることを深く理解できるようになるでしょう。

2. 健康経営アドバイザーとは?

健康的な笑顔でディスカッションする社員達

2-1.健康経営アドバイザーの役割

健康経営アドバイザーは、以下の様な役割をもっています。

・「健康経営」の必要性を伝える
・自社内の「健康経営」への取組みに必要な情報を提供する
・「健康経営」へのきっかけを作る

出典:東京商工会議所「健康経営アドバイザーとは

健康経営アドバイザー資格は「健康経営」の必要性を啓蒙する役割を担うことを期待されて設立されました。

資格取得の研修内容は、健康経営の重要性やメリット、「まずやるべきこと」、「具体的な取り組み」など、「健康経営」へのきっかけづくりに必要な知識とノウハウの習得が目的となっています。

アドバイザーという表現自体曖昧なものであるため、具体的な活動内容が不明確です。そこで、その上位資格である「健康経営エキスパートアドバイザー」との違いを明白にすることで、健康経営アドバイザーとは何かを説明します。

2-2.健康経営エキスパートアドバイザーとの違い

上位資格である健康経営エキスパートアドバイザーは、以下の様な役割をもっています。

・「健康経営」に取り組む上での課題を抽出・整理
・課題解決に必要な取組を提案
・取組の実践を具体的にサポート

出典:東京商工会議所「健康経営エキスパートアドバイザーとは

健康経営エキスパートアドバイザー資格が設立されたのは、「健康経営」実現ノウハウの不足を補う役割を担うことを期待されたためでした。

資格取得に必要なワークショップでは、関係者へのヒアリングスキルや助言・提案力を習得し、最終的に健康経営診断報告書を作成できるようになるための講習が行われます。

したがって、双方の資格には以下の様な役割の違いがあります。

<健康経営アドバイザー>
健康経営に取り組むきっかけを作るため、経営者を啓蒙したり、現場従業員の積極的な参加を促すために必要な導入メリットや具体的な取組みに関する情報を提供

<健康経営エキスパートアドバイザー>
健康経営を導入するにあたり、個々の企業で浮かび上がる課題を明白にしたり、課題解決の助言・提案

3. 健康経営アドバイザー・エキスパートアドバイザーの資格取得方法

健康経営アドバイザーの資格試験の勉強をしている

3-1.健康経営アドバイザーの資格取得方法

健康経営アドバイザーは、東京商工会議所の指定する研修プログラムを修了し、効果測定に合格することで認定を受けることができます。

具体的なステップは以下の通りです。

<STEP1>
「本研修」の受講:(更新には2年ごとの更新研修受講が必要)

<STEP2>
受講後の「効果測定(IBT)」で7割以上の正答:(合格まで何度も受験可能)

研修内容は、健康経営の重要性やメリット、アドバイザーの役割などで、「まずやるべきこと」や「具体的な取り組み」の実践ポイントも学べるので、研修を受けただけに終わらず有益です。

「本研修」「効果測定」ともe-learning(オンライン)で、PCはもちろん、スマートフォンやタブレットでの受講が可能(Macは非推奨)です。

受講可能期間は決済完了から120日で、期限を超えると視聴・受験とも出来なくなり、いかなる理由でも延長措置は設けられないため、注意が必要です。

出典:東京商工会議所「健康経営アドバイザーとは

3-2.健康経営エキスパートアドバイザーの資格取得方法

健康経営エキスパートアドバイザーの資格取得には以下のステップが必要です。

<STEP1>
健康経営アドバイザー認定者かつ所定資格者又は所定実務経験者

<STEP2>
送付されたテキストを自己学習して「知識確認テスト」で8割以上の正答

<STEP3>
オンライン等で実施されるワークショップ参加後の「効果測定」で8割以上の正答


<STEP1>
の所定実務経験ですが、概ね1年以上「経営」や「人事労務」に関して従事していればOKであるため、クリアは難しくありません。

ワークショップは、ヒアリングスキルや助言・提案力を習得し、最終的に健康経営診断報告書が作成できるようになるために行われます。「効果測定」も事例情報に基づいてこの報告書を作成することが求められます。

不合格の場合、次回「知識確認テスト」のみ免除され、次回以降の「知識確認テスト」は再受験が必要となるので注意が必要です。

出典:東京商工会議所「健康経営エキスパートアドバイザーとは

4. 健康経営アドバイザーに支援されるメリットとは?

4-1.健康経営アドバイザーの活動内容

経営者及び現場に、「健康経営」の必要性を伝えたり、自社内の「健康経営」への取組みに必要な情報を提供したりして、「健康経営」へのきっかけを経営者及び現場に作ることが健康経営アドバイザーの活動内容です。

「健康経営」に取り組む上での課題を抽出・整理したり、課題解決に必要な取組を提案したり、健康経営診断報告書作成等を通じて具体的にサポートしたりするのは健康経営エキスパートアドバイザーの活動内容です。

弁護士法や医師法のような、越権行為に対する処罰規定はないため、実際の健康経営アドバイザーの活動内容は、広範なコンサルタントを含むものといえます。

以下で説明する健康経営アドバイザーに支援されるメリットは、厳密にはエキスパートアドバイザーの役割を含む広いアドバイス活動の効果です。

4-2.健康経営アドバイザーの支援により享受できるメリット

経済産業省が、健康経営・健康投資による企業への効果としてあげているのは以下の通りです。

・従業員の健康増進・活力向上
・経営課題解決に向けた基礎体力の向上
・「優秀な」人材の獲得
・人材定着率の向上
・組織の活性化
・生産性の向上
・企業の成長ポテンシャルの向上
・イノベーションの源泉の獲得・拡大

これらを通じて「業績向上」及び「企業価値向上」の効果を企業にもたらすとしています。

さらに経済産業省は、健康経営・健康投資による社会への効果として以下の点もあげています。

・国民のQOL(生活の質)の向上
・将来性のある新しい収益産業(ヘルスケア産業)を創出
・あるべき国民医療費の実現

出典:経済産業省「健康経営の推進について

こうした効果をもたらす健康経営への取組みのきっかけを作り、その実現ノウハウ不足を補うメリットが、健康経営アドバイザーの支援を受けることにより享受できます。

4-3.従業員の健康増進及び活力向上により享受できるメリット

健康経営アドバイザーの支援により福利厚生が充実し、従業員の健康増進・活力向上が実現すると、以下のようなメリットを享受できることが、米イリノイ大学心理学部名誉教授エド・ディーナーにより証明されています。

・生産性1.3倍
・売上1.37倍
・創造性(イノベーション)3倍
・継続就業意向向上
・転職意向低下

出典:東洋経済オンライン2019.04.24『仕事の生産性にまで影響する「幸福」の正体

もっとも、日本企業の従業員の仕事に関する幸福感(社内エンゲージメント向上)は6%しかなく、国際的調査によれば、139か国中132位です。

出典:経済産業省「参考資料集」令和2年7月

こうした従業員の低い幸福感が影響しているためか、日本企業の「時間当たり」の労働生産性は、データ取得可能な1970年以来、先進7か国で常に最下位で、94年からは「1人当たり」の労働生産性も連続最下位となっています。

出典:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2022

従って、健康経営アドバイザーによる支援は、日本企業の最優先課題の1つと言えます。

5. まとめ

本記事では、健康経営アドバイザーとは何か、その資格がどのように設立され、その活動が企業経営にどのような影響を与えるのかを詳しく紹介しました。

健康経営アドバイザーの存在が、従業員の健康増進をサポートするだけでなく、会社業績のUPや人材の離職・転職予防、優秀な人材獲得にプラスであることを理解できたのではないでしょうか。

社内エンゲージメント向上が、生産性UPやイノベーション醸成にプラスになることが学者により証明され、低迷している日本企業の労働生産性脱却に資する重要な経営施策となっています。この重要な経営施策を取り組むにあたり、健康経営アドバイザーの支援は大変有益です。

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・健康経営導入のきっかけづくりをする「健康経営アドバイザー」
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の両資格を有するメンバーが在籍しています。

弊社が有するこのノウハウと人材を通じて、健康経営を推進しようとしている企業の人事総務担当者様の支援が可能です。

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